2003年 チェンソーアート
アメリカ滞在日記 夏編 その7
2003年7月15日〜7月19日(最新版)
7月15日 二日間お世話になったイバに、さよならを言う。彼女とはこれっきりという気がしない。きっとまた会えるだろう。タトウアーティストの彼女の息子さんとともにいつか日本に来た時はお世話になった、お返しをしたい。
この後、私たちはここから約1500キロ離れたイリノイ州のフェア(長年ベン・リズニーが出演)に行く予定だったが、急遽、ここから車で20分の「カナウフェスタ」に変更になった。「カナウフェスタ」に出るはずだったカーバーが急な病気で行けなくなったそうだ。私たちにとっては近いほうがありがたい。
「カナウフェスタ」はナイアガラの滝にほど近いタナワンダという町で、先週の日曜日から次の日曜日までの九日間行われている。ナイアガラリバーに通じる運河に避暑に来ているたくさんのお金持ちのクルーザーが泊まっている。遊園地さながらの遊具やたくさんの出店がならび今までの中で一番華やかな雰囲気がある。メリーゴーランド発祥の地らしく、本物の馬のそれや、最新のものまである。河でも楽しく遊べる。 車をとめたすぐそばにシャワー&トイレがあり、便利である。
担当者のエドと会う。用意してもらった木は、ブラックウオールナッツ、オーク、チェリーなど、カービングに使うにはもったいないくらいの高級だが、固い木ばかり。それなのにショーの時間は約45分という。2回で一作品として作ってもいいと言う。
5時最初のショータイム。サンボンデイズで注文をもらった、入れ墨カップルの「イーグルにハーレーマークデザイン」をブラックウォールナッツで彫る。1回では彫りきれなくて、6時30分からの2回目でようやく完成。「パーフェクト!」と喜んでもらった。最初、ちょっと怖い人達かな、とも思ったが、とても感じにいい人達だった。アメリカでは、入れ墨=怖い人、ではないらしい。多くの普通の人達が気軽に入れ墨を楽しんでいる。
3回目のステージの始まる8時、激しい夕立に見舞われた。そんな中、一本の傘で最初から最後まで見てくれた親子がいた。ブラックウウォールナッツで注文の「熊」を彫った。これも未完成で明日1番のデモでフィニッシュする。
7月16日 10時、ハードウエアストアに行き、シートや鎖などを購入。曇り空で肌寒い日だが、雨だけは降らないで欲しい。今日のステージは1時から4ステージ続く。
1時からは、昨日の最後のステージで作りかけていた「熊」を完成。
3時からは、羽根にイーグルヘッドがついているデザインを彫る。これなら45分で彫れるだろうと思ったが、選んだ木が、ジェンから手を出すなといわれていたホワイトオークだったため、結局1時間かかってしまった。
5時からは、たいへん柔らかい、バスウッドという木ではじめた。「イルカ」を彫る。毛羽立つため、細かいディテールにはむかないが、つるっとしたデザインならなんとかなるだろう。
6時からとなりでダンスショーが始まった。おじいさん、おばあさんのダンスなど、なかなか微笑ましいが、7時からこちらのショーとぶつかってしまう。むこうは音楽、こちらはチェンソーの騒音。終わるまで待って欲しいというむこうの要求を聞いておとなしく待っていると、大勢のお客さんから「まだやらないのか」と問い合わせられる。担当のエドに掛け合ってもらって、こちらも開始。今度は「リス」。ちいさいものだからどれくらいお客さんが見てくれるかな、と思ったがみんな最後まで熱心に見てくれて、たくさんの拍手をいただいた。一番ウレシイ瞬間だ。
終わった後、会場内を歩く。もう11時をすぎているというのに、すごい人ですごい熱気だ。アメリカの夏祭りはすごい、こんな事を9日間も続けてしまうなんて。
7月17日 今日は快晴。昨日のハードウエアストアに行き、買い忘れたものを購入、するとレジにいた女の人は昨日、ご主人と一緒にフクロウとクマを買ってくれた人だった。
イベントは夕方から開催なので、昼は、昨日の作品のペイント等手直しをし、持ってきた、細いホワイトパインでアライグマを彫った。やっぱりホワイトパインは柔らかくていい。
5時が最初のステージ。客はまだ少なかったが、カービング開始の決めポーズ、片手でチェンソーを上に向けて豪快にふかすと、片手の先のない男の子が両手をあげて応えてくれた。
レッドオークでクマを彫る。ホワイトオークより柔らかくて良いと聞いたが、やっぱり堅い。
7時だんだん人が集まってきた。2回目は担当のエドのリクエストで亀。ワニガメを彫る。エドも喜んでくれたが、子供達にも大人気だった。
3回目の8時には注文のフクロウ。昨日からずっと見ていてくれるカップルが注文してくれた。
7月18日 午前中、近くのショッピングセンターで買い物。そこでは珍しく分別回収をやっていた。トマトのディスプレイも楽しい。
アメリカではバイオオイルは一般的ではないので、どこのチェンソーショップでも取り寄せになる。今回偶然、会場近くにチェンソーショップがあったので火曜日に頼んでおいたオイルが今日入荷された。ちょうどバイオオイルが切れかかっていた時だったので助かった。
5時から注文の小さなサイズの「熊」を彫る。結構賑やかくなった。キャンピングカーでアメリカ中を旅しているというご夫婦の注文で、車に飾りたいので小さいサイズがいいという。
6時30分からレッドオークで「アライグマ」を彫る。やっぱり堅い。刃がぜんぜん入っていかない。
8時からは、注文の「蝶」を彫る。初めてのデザインで挑戦のしがいがある。未完成で明日1番のショーに持ち越した。
夜は日本からもってきたレトルトのカレーを食べる。水が使えないので料理ができず、毎日ハンバーガーばかりだったので美味しかった。
7月19日 さあ、いよいよ最終日だ。今日は快晴。会場近くの通りではクラフト展も開かれ、ますます華やかな雰囲気だ。午前中は、エディマーフィ似の彼の注文「ニューヨークヤンキース」の看板を彫る。
今日は4回のステージ、その4回とも注文品だ。
1時からは昨日の続き「蝶」を彫る。以外なデザインだったらしく観客からも拍手が沸き起こった。
注文した方も大喜びだった。
3時からは、初日からずっと見に来てくれているご夫婦の注文のやっぱり「小さな熊」。できあがるのを楽しそうに見守っていてくれた。
5時からもやはり「小さな熊」熊はとても人気のある動物だ。
6時から運河で、カヌーコンペテションが行われた。同じ材料(ベニヤ)、同じ工具(タイラップ)で作ったカヌーをそれぞれ思い思いのデザインに仕上げて競争。早い艇よりは途中で沈没してしまうカヌーが大人気。アメリカらしいレースだ。
7時30分、最後のカービングショー、「ウルフ」を彫る。マッチョなお客の注文。彼はクルーザーでこの祭りに遊びに来ているそうだ。普段の仕事はなんなのだろう?
とうとう、5日間のカービングショーが終わった。両手を比べてみると、右手が左手のふた周りほど腫れあがって大きくなっていた。こうやってカーバーの手になっていくのだろうか。
担当のエドが、「予定していたカーバーが急に来れなくなったと聞いて、良いカーバーが来るだろうか、正直心配だったが、多くの観客が喜んでくれた。ありがとう」と言ってくれた。私たちにとっても、二人だけの初めてのフェアで、色々トンチンカンな事もあったがなんとかやってこれたのは、色んな人達の助けと、声援を送ってくれるお客さんのおかげだ。
※会場の夜景
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