2003年 チェンソーアート 
アメリカ滞在日記 夏編

その13
ニューヨークステイツフェア〜
 リウストンスタンプカービング
2003年8月21日〜8月30日
再編集日:2005年7月5日

再編集
CHAINSAW ART JAPAN
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8月21日 ルーストンでの仕事は日曜日だが、途中にあるセラキュウスという町で行われている巨大イベント、ニューヨークステイツフェアに寄って、ブライアンのショーを見ていこうと、ジェンとザックとともにムースとミニーを積んで午後出発。セラキュウスはニューヨーク州のほぼ中央にあり、ブライアンの自宅から約4時間ほど。途中、オイル交換をした。私たちはアメリカを、この夏、3,500マイルつまり5,600キロほど走った事になる。
思えば、初めての遠出の仕事がこのリウストンだった。わずか1ヶ月あまり前の事なのに、ずいぶん昔に事のように思える、あのころは、キャンピングカーの運転自体に非常に緊張したものだった。
午後8時頃、ニューヨークステイツフェアに到着。このフェアはステイツフェア(州主催)でしかも、アメリカでも最大級のフェアというだけあって、7つある駐車場のうちの1つだけでも、今まで自分たちが行っていた、コミュニティフェア(町、市主催)カウンティフェア(郡主催)の会場ほどの大きさがある。 こんな広い会場でどうやってブライアンを見つけようと思っていると、今日のステージを終えたブライアン師がゴルフカートにのってゲートで待っていてくれた。早速、カービングサイトに案内してもらう。ブライアン師のショーは、12時、2時30分、4時30分、6時の一日4回。
たくさんの人で賑わう会場をブライアン師に案内してもらって見て回る。とても一日では回りきれない広さだ。ブライアン師はこのフェアにもう12年も出演しているという

8月22日  朝、ザックはゴルフカートを運転し、楽しんでいる。みんなで会場での朝食を済ませ、昨日に引き続きフェアをみて回る。ブライアン師の作品はだいたい45分で作ったという作品たちだが、どれもさりげなくすごい!このフェアは朝9時から夜11時まで開かれていて朝からたくさんの人が訪れている。フェアの様子は毎日ホームページや新聞などで報告されまた、フェア内には専門のFM局があり、今日の見所などを紹介している。
車のレースやコンサートは有料だが、アシカのショー、サメのショーなど動物のサーカスもたくさんある。そんな中、世界最大の熊、コディアックベアを間近に見せてくれるショーがあった。ガラス越しだが、目の前でこの巨大な熊を見ることができ、感激していると、オーナーが檻の中に入ってきた。ダメだ、死ぬ!と思ったが、そんなに危険なものではなかった。ブライアン師の友人でもある、そのオーナーが楽屋口に案内してくれて、なんとそのベアに直接マシュマロを食べさせる機会を与えてくれた。ペロンと柔らかい舌が指をなめた。大感激。彼は小熊の頃からこの熊たちを大切に育てている。オーナーは熊みたいな優しい目をした大きな人だ。家畜に触れることができるブースには何だか変わった動物がいた。
牛のような鹿のような、馬のような・・・。

車の展示会場ではもうすぐ発売のコルベット社のピックアップトラックがあったが、こんなになってしまうんですねって感じだった。その他、ネイティブアメリカンの村が会場内にあり、素晴らしいショーを見せてくれる。あまりに広いのでトラクターバスが会場内を無料で送迎している。
12時と2時30分からのブライアン師のショーをサポートし、4時30分からのショーに急遽、ブライアンと共演する事になった。ジェンがフェアの広報と話をし、日本からのカーバーと共演というのは良い話題になるとフェア側も判断し、日本とブライアン師の関係など、マスターズ オブ ザ チェンソーの仕事の紹介もしてくれる事になったらしい。
いつかは、このような大きなフェアで仕事をしてみたいと思った夢があっというまに叶ってしまった!!しかも、ブライアン師との共演だなんて夢みたいだ!!
 ウエルカムベアを持つ熊を彫る。木は乾ききったポプラでオークと同じくらい堅いが、ブライアンはなんなく一発でラインを決めていく。このデザインは定番なので、形が頭に入っているつもりだったが、一緒に彫っていくと改めて発見する事がたくさんあって大変勉強になった。そしてすごく楽しくあっという間にできあがってしまった。(45分)ブライアン師が観客の前で紹介してくれる。嬉しい!
大勢の観客が見てくれてたので、フェア側から6時からもと要請があり、再び共演する事ができた。今度は「ミミズク」を彫ることになった。これも難なく40分で仕上がった。
ジェンがオフなのに仕事させてごめんなさい、と言うが、こんな素晴らしい機会をあたえてくれて本当にありがとう!ブライアン師とニューヨークステイツフェアでショーをやったというだけで最高の名誉である。
この夜、ジェンとザックとエイコは絶叫マシンを楽しんだようだ。

8月23日  朝、フェア内のレストランで朝食をみんなで食べていると、昨日のブライアン師との共演の事をラジオが取り上げていた。なんか、有名人になった気分だ。昼頃、一緒に付いていってケアしようというジェンの申し出を断って二人だけでルーストンに出発。なぜならザックの学校が来週から始まるので、ブライアンはこの12日間のニューヨークステイツフェアが終わると、その夜メイン州に移動して(約600キロ)次の朝からまた12日間のカービングショー、その後は約2500キロ南下しジョージアで20日間のカービングショーに出演と約40日以上単身赴任となるそうだ。少しでも長い時間を親子で過ごして欲しい。
午後4時頃、懐かしいイバの家に到着。イバは両手を広げて出迎えてくれた。イバはケイジを再び呼ぶためにこのスタンプカービングの仕事を作ってくれた。ありがとう。彼女のオフィスにあるスタンプカービングの木を見に行く。高さは約3メートル、真ん中で二つの枝に別れていて、斜めに生えている木だ。さあ、どんなデザインが良いか。決めるのは明日にして、今日はリウストンの街を楽しむ事にした。この街はほんとうに美しい。今日はJAZZフェスティバル。三カ所で野外コンサートが開かれている。ワインやアンティークの出店が立ち並び、人々はワイン片手に、生の音楽を楽しんでいる。遊具も屋台もないが、大人がゆっくり楽しめるイベントだ。

8月24日 よく晴れたさわやかな朝だ。朝9時カービングを開始。この日のためにコの字になるハシゴを二つ買ったが、それでも二本の枝の上の方には届かないので、チェンソーが届く位置で枝をカット。夕べ考えていたデザインも変更せざるをえなくなった。スタンプカービングの場所は、普段は駐車場として使っているらしいが(今日はアンティークの出店が並んでいる)、近々公園とするよう計画されているとの事。最初は抽象的なものを彫ろうと考えたが、モダンアート、抽象的な彫刻はこの街にたくさんあるし、公園になるのなら小さな子供も楽しめるようにと、人気のアライグマ、リス、クマを彫ることにした。 多くの人たちが見に来てくれた。新聞報道も事前にしてくれてあったようだ。
今日も街では音楽とアンティークの出店や、車の展示など行われているので入れ替わり立ち替わり大勢の人が見てくれる。
6時。完成。(ちなみにエイコは腰にサポート仕事7つ道具を付けている。)イバが白ワインで完成を祝ってくれた後、レストランで夕食をご馳走してくれた。

※スタンプカービング作品写真

8月25日 イバにさよならを言う。私たちを2回も呼んでくれてありがとう。家に泊めてくれてありがとう。きっと来年もまた会えると思う。手にはキッチンガーデンで採れたトマトを持っている。たいへん美味しい!
今回もナイアガラを見る時間がないとイバに言ったら、絶対に見ていってくれと言われた。お言葉に甘え、せっかくだからとナイアガラの滝を見てから帰る。さすがにすごい滝だ。水量もすごい。滝もすごいが、滝の向こう側がカナダの高層ビルというのも、すごい。とにかく美しい。
帰り道なので、再びニューヨークステイツフェアに寄り、ブライアンに最後の挨拶をすることにした。それにしても駐車場にすごい車の量である。会場でもさすがにすごい人・人・人カービングブースでは丁度ショーの終わり際だったのでショーも見ることができたし、話をすることもできた。私たちがアメリカでカービングをすることができたのは、ブライアンのおかげだ。この素晴らしい夏のお礼を改めて言う。
8時頃、プロパティに到着。スーパーマーケットで食料品を買う。有人のレジが混んでいたので、無人のレジで精算してみる。はじめアメリカに来た頃は、買い物ひとつが大冒険だったのに、今日は自分たちだけで無人レジを使うことができた。自分達なりに進歩したのかなと思う。
夜はジェンのところに行って一緒に夕ご飯を食べ、彼女の庭にキャンピングカーを泊め寝る。

8月26日 ここにいることができるのも今日が最後。天気までもどんより曇っている。キャンピングカーの片づけを始める。最初は狭いな、って感じていたこのキャンピングカーだったが、今は我が家。別れるのがつらい、もちろん来年またこの「幸運号」にはお世話になるが。
二人だけで銀行に行ったり買い物や洗濯を済ませ、ジェンの家に行き最後の夕ご飯を一緒に食べる。
ザックはキャプテンケイオスになって飛びかかってくる。ムースとミニーも元気でね。
この夜、ザックが忠会長からプレゼントされた習字道具を使って遊んでいた。なかなか上手だ

8月27日 朝からどんより曇った日。今日はフィラデルフィア空港の近くのホテルに行かなくてはならない。スーツケースに荷物を詰めながら、寂しい気持ちになる。チェンソーの整備をし、キャンピングカーの水を抜き、近くのRVパークでダンプをし、念入りに掃除をし、ブライアン達の邪魔にならないよう、プロパティの一番奥に留める。二ヶ月半、私たちと苦楽を共にしてくれたこの「幸運号」に、改めてお礼を言う。借りている、ジェンの車(ニッサンパスファインダー)に荷物を積み込んでジェンの家に行く。途中の、見慣れた景色もこれが最後と思うと寂しくなる。もう、二ヶ月半もたったなんて信じられない。昨日、アメリカに来たばかりのような気がする。
ミシガンから、マイケル・ブレインがカービングショーを終えて新車に乗って帰ってきた。さすがのマイケルも疲れた様子。愛犬バンバン(ブルドック?)も疲れたのかおとなしい。少し秋の気配がし始めたジェンの庭でくつろぎながら、この二ヶ月半を思う。多くの人に助けてもらった、二ヶ月半だった。どうやってこのお礼をしたらよいか、自分たちの活動を人に喜んでもらえるようにしなくては。
3時頃、今日から小学校がはじまったザックが帰ってきた。彼にとって新しい学校だったので最初はかなり緊張したらしいが、さっそくもう友達が沢山できたそうだ。
6時半頃、フィラデルフィアに出発。マイケル、ジェン、ザックが私たちを、フィラデルフィアに送ってくれる。ザックは私たちのために?正装してくれた。出発前、みんなで記念撮影した。鹿たちともお別れ
フィラデルフィアでは、マイケルのガールフレンド、ディーさんが待っていてくれて、みんなでレストランで食事をとった。そしてお別れの時。
ジェンと涙のお別れをする。彼女にはなんてお礼をいっていいか、わからない、ほんとうにいろいろありがとう。

8月28・29日 空港ロビーではそのドアの向こうは国際名古屋空港だ。約13時間飛行機に乗る。日本に帰ったらすぐに新たなカービングが待っている。あくる日、約30分遅れで名古屋空港に夕方6時到着、結局名古屋の東急インに宿泊し、夜は居酒屋「世界の山ちゃん」で美味しい料理を堪能した。

8月30日 自宅に到着、部屋の中はカビだらけ・・・。今日から本格的に日本の生活が再スタートする。

USA日記 夏編   完

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