2003年 チェンソーアート 
アメリカ滞在日記 夏編

その10
シャイワシィ・カウンティ・フェア
(ミシガン州)
2003年8月3日〜8月9日
再編集日:2005年7月5日

再編集
CHAINSAW ART JAPAN
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8月3日 一日目、朝は小雨がちらついたが午後からはすごくよい天気になった。さあ、今日から土曜日までの7日間、1時、3時、5時、7時と4回のショーの始まりだ。
このイベントはカウンティ(郡)の規模でおこなわれる夏祭り&農業祭である。今まで請けてきたショーは市町村規模であったが、今回はスケールアップ。また、今回のシャイワシィカウンティフェアは10年間、あのベン・リズニーがおこなっていたショーである。今回ベンは更に遠いアイオワ・ステイトフェアに行っている。カウンティの上がステイトフェアで「州」規模のイベントである。
 みんなベンを覚えていて、「ベンは素晴らしいカーバーだ。」「今年はベンは来ないのか?」など聞いてくる。そのたびに「ベンは私の先生です。」と応えるが、ベンの後というのはすごいプレッシャーだ。
1時、ブラックウォールナッツ(BW)で二匹のアライグマを彫る。オークに比べれば柔らかいがBWだってけして柔らかくはない、結局1時間15分もかかってしまった。45分休憩して、3時からポプラでイーグルヘッドを彫る。今日はアメリカに来て一番暑い日となった。Tシャツを絞ると汗がジャージャーこぼれ落ちる。5時、(太陽が真上にあってとても5時とは思えない。)イルカを彫る。6時から会場内で有料で行われているモトクロスショーを20分だけ見に行く。久しぶりに見るモトクロスは最高!さらにアメリカンライダーの迫力はすごい。10歳くらいの少年が3連ジャンプをみごとに決めていた。オートバイを楽しんでいたときの記憶がよみがえってきた。また、80ccのモトクロスレースは鹿児島の大迫先生を思い出し、お元気でお過ごしだろうかと考えた。その風景はまさに過去行われていた新城市の山の湊よいとこ祭とそっくりだ。その影響で7時からは、モトクロスライダーを彫ってみた。しかし、木が小さかったため道具だけになってしまった。緯度が高いせいか9時過ぎでも充分明るい。片づけ終えると激しい雷雨がやってきた。
※展示されている巨大な農機具たち。 1.たいへん古い大型農業機械。   2.たいへん大きな農業機械。
                         3.たいへん長い農業機械。
今日のショー・シーン

8月4日 二日目、午前中、近くの町までコインランドリーに行ったり、プラグや食料品を買う。この町の人はみんな親切で、道を尋ねると皆丁寧に教えてくれる。日本人がなんでここにいるのか不思議がって好奇心いっぱいに色々聞いてくる。チェンソーアーティストで2ヶ月半アメリカを回っているというと、両手を広げて「ウエルカム、アメリカ」と言ってくれる。
午後から日差しが暑くなる。今回は日よけのテントを用意してくれている。お客さんはそこから見物。
1時、どこでも人気のある熊を彫る。1時間20分かかってしまった。40分休憩して、3時からウサギ。今日はウサギの品評会があるらしい。5時からリス、7時からブラックウオールナッツでイーグル。くちばしが白くなるようにデザインしてみた。丁寧に作りたいので完成は明日に持ち越し。
※今日の作品 1.クマ  2.ウサギ   3.リス  4.イーグル(途中なので写真はありません)

8月5日 三日目、午前中は霧がでるが午後からカラッと晴れて今日も暑い一日だ。
ショーの前に作品の塗装や少々の手直しをする。リスイルカモトクロス道具を完成させた。
1時、昨日のイーグルの続きを彫り完成させた。
マイクがきて、ホワイトパインはあるが、トラックの手配がつかないのでちょっと待って欲しい、というような事を言っていた。たいていのフェアでカービングに用意される木は木材会社からの寄付なので、時々とんでもない木がくるらしい。あるカーバーが行ったフェアで用意された木は、すべて根回り(真ん中が腐っている)で、作ったもの作ったもの壊れてしまい、とうとう事務局 を怒鳴ってしまったそうだ。
3時、もしホワイトパインが来なかった時の事を考え大切に木を使おうと、大きな木の破片でウエルカム看板を持つ熊を彫る。ギリギリサイズだったがなんとかなった
5時、フェア側のリクエストで灯台を彫る。人気のあるデザインらしい。初めて彫ったがわりと簡単でおもしろい。
7時、いよいよ、木が無くなってきたのでやはり、木のかけらで羽根と顔を出しているミミズクを彫る。
終了後、フェア内を歩いてみる。品評会用の動物を覗く。牛、馬、ヤギ、羊、豚、ウサギ、鶏、七面鳥、アヒル、ハムスター、犬など、今までのフェアの中で一番充実している。飼い主の写真も展示され、(多くの子供が自分で家畜を育てコンテストに出品している。)また飼い主達もキャンピングカーに泊まり込んで世話をしているらしい。ウサギのブースは大勢の人が見に来ているが七面鳥のとことには誰も見に来ていない。ベンの作品のルースター(雄鶏)を見つけた。さすがだ。
月曜日から建て始めたアトラクション遊具が今日からオープンしたので(2日で建ててしまった)夜遅くまで歓声が聞こえる。
馬に乗って会場を警邏する警察官、カッコイイ!

8月6日 四日目、今日も快晴。毎日、青と白の正しい夏の空だ。
午前中に町に出て、洗濯と買い物、朝食を済ます。美しい橋や古い小さな城風の建物、古いアメリカンログハウスなどがある。消防署の前にはかわいく塗装された消火栓。会場に帰ってきたらすぐ横の広場で古いトラクターの展示ゆっくり走るレースをやっていた。けっこうカッコイイ。
ショーの前にまたまた、作品の手入れ。アライグマウエルカムベアを塗装。
まだ、ホワイトパインは届かない。残り少ないブラックウオールナッツを縦に三枚にスライスし、1時と3時の2ステージでドラゴンを作る。向かいでコーラを販売しているボーイスカウトの少年達から歓声があがった。アメリカの少年はドラゴンが大好きだ。
事務局の人が来て、結局ホワイトパインを取り寄せる事はできないと言う。去年のベンの作品の写真を見せてもらうと、さすがベン、オークでいくつもの素晴らしい作品を作っている。自分もプロとして来ている以上、できませんとは言えない。やるしかない!
5時、オークで、フェア側のリクエストのログキャビンを彫る。やっぱり堅い。ハスクバーナー385XPでもぜんぜん刃が入っていかない。杉だったら10秒で切れるカットでも1分くらいかかる。
7時、ログキャビンを完成させる。中に腐れや空洞があったりしたがなんとか完成。ログキャビンで2時間もかかってしまった。手がおもいっきり痺れている。あと、11ステージ持つだろうか・・。
今、はっきり言える、日本の杉はなんていい木なんだ!!!
ホワイトオークとアッシュ

8月7日 五日目、今日も快晴。日中の日差しは痛いくらいに強い。
オークは堅いので、小さい作品でもいいと、事務局に言われたが、ハーフにカットする事じたいが大変。
1時と3時の2ステージでベア・ヘッドを1メートルのオークで彫る。まずまずのクマができた。
オークは、堅いが刃が止まってしまうほどではないことがわかった。重たいという感じの堅さで手に振動がもろに伝わってくる。でも大変美しい木だ。びっしりつまった美しい木目は思わず見とれる。そして削っていて、なんていうか、木の持っているパワーみたいなものをすごく感じる。BWにも感じるが、オークにはそれ以上の強い何かを感じる。
このあたりの人々はみな明るく親切で人なつっこいが、最後までじっくり見てくれる人は少ない。(日差しが強いせいもあるが)主催者もショーとして見せる事よりも、じっくり良い作品を作ってオークションで高値で売りたいようなので、こちらも「見せる」というより「彫る」に専念する。
30分休憩して5時と7時の2ステージで、リクエストの多い馬を彫る。
今日オークで2つのまずまずの作品を仕上げて満足感いっぱい。
作品を見てくれる家族

8月8日 六日目、今日は空いっぱいに雲が広がっている。涼しくて過ごしやすいが、どうか雨だけは降らないで欲しい。
このシャイワシィ・カウンティ・フェアのマスコットマークでもあり、もっともリクエストの多い豚を彫ろうと、午前中、品評会用の豚たちを見に行く。いずれベーコンやポークリブになる運命の豚たちだが、今はのんびりゴロゴロしていた。
準備をしていると、木材会社に勤めているというおじさん達が通りかかって、こんな堅い木をチェンソーでカービングしていたら、手もチェンソーもいかれてしまうぞ、と同情してくれた。それでも今日は1ステージづつ1作品、4作品作ることが目標だ。ショーが始まるころにはすっかり晴れわたった。
1時、豚を彫る。シャイワシー・カウンティは、SHI-A-WA-SSEE・COUNTYと書くのでシアワセ郡と読めなくもないので、「幸」と彫る。意味を説明するとみな大喜びする。
3時、やっぱりリクエストの多いを、ひさしぶりのブラックウオールナッツで彫る。
5時、フクロウを彫る。なんとか1時間で作れた。だんだんオークの堅さに慣れたようだ。というか、杉やホワイト・パインの柔らかさを忘れ始めた。
7時、オークのかけらで、小熊と遊ぶ熊を作ってみた。日本でよく作った、鉢を持つ熊の小熊版だ。つっこみ切りが入っていかないので、ぬくのに苦労し、1時間30分もかかってしまった。
あ〜、終わった後のビールがうまい!!!
※作品 フクロウ  クマ親子  2日前に制作、塗装したログキャビン  その展示

8月9日 七日目、いよいよ今日が最終日。雲はあるがまずまずのお天気だ。
今日が最後なんてなんだか寂しい。
今日は1時から、ミミズクを彫る。
そして、3時はカービングはお休みでそのかわり、作品オークションがある。昨年までのベンさんの売上に及ばずとも少しでも近づきたいと、120%の力を出し切ったつもりだ。オークションの売上は直接自分には関係ないが、なるべくたくさんのお金を主催者にバックしたい。どんな結果になるかドキドキする。7日間つくった作品を並べると、自分としてもよくやったと思える。
多くの人が自分のカービングのオークションのためだけに集まってくれた。自分が良い作品と思うものが安い値でおとされたり、思いがけないものが高値についたりしたが、結果的には、契約金額の約7割の売上となった。契約金額以上の売上にはならなかったが、主催者が「たくさんの売上をありがとう」と言ってくれたのでまずまずといったところか。
5時と7時のステージでは主催者側のリクエストでリスログキャビンを彫る。この2作品は別の日に行われるもっと大きなオークションに出すそうだ。残しておいたBWで彫る。リスのショーでは多くの観客が集まった。 完成したリスもBWだったためかわいく仕上がった。
特に今回のラストショーとなったログキャビンは思い入れいっぱいに作った。
とうとう7日間のショーが終わった。手の痺れや身体の疲れは多少あるが、まだまだ彫り足りない。もっともっと彫りたい。
今回はキャンピングカーの機能がようやく整ったので、ほぼ全食自炊できたことも体力的に大変良かった。内藤さん、お米を送ってくださってありがとう!奥三河のお米は世界一です!!

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